当弁護団について
弁護団活動
当弁護団は、国に初めて責任を認めさせ、厚生労働省との基本合意を締結した、全国B型肝炎訴訟弁護団の一員です。私たちは、基本合意の内容を実現していくため、また、B型肝炎の被害を受けた方々の状況を少しでもよくしていくため、日々活動を行っております。
使命
基本合意では、下記内容が確認されました。
① 国が責任を認めて正式に謝罪すること
② 和解対象者の認定要件と和解金
③ 国は、患者が不当な偏見・差別を受けることなく安心して暮らせるように啓発・広報に努めるとともに、肝炎ウイルス検査の一層の推進、肝炎医療の提供体制の整備、肝炎医療に係る研究の推進、医療費助成等の必要な施策を講ずるよう努めること(恒久対策)
④ 国は、集団予防接種等の際の注射器の連続使用によるB型肝炎ウイルスへの感染被害の真相究明及び検証を第三者機関において行うとともに、再発防止策の実施に最善の努力を行うこと(真相究明・再発防止)
⑤ 国は、上記③④の施策の検討にあたり、原告の意見が肝炎推進対策協議会等に適切に付されるよう、当原告団・弁護団と協議・調整する場を設けること(大臣協議など)
当弁護団は、裁判で和解対象者の和解を進めていくことはもちろんのこと、基本合意を締結した弁護団としての使命として日々、恒久対策、真相究明にも取り組んでいます。
恒久対策 差別偏見の撲滅・医療費助成の拡大・治療法の研究
私たち弁護団は、全ての肝炎患者が安心して治療を受け、生活することができる社会を求める活動(恒久対策)に取り組んでいます。
現在 1番の目標として、国に対し、肝硬変肝がん患者に対する医療費助成制度を創るよう求めています。大規模な署名活動、肝炎サポート大集会、厚生労働大臣との協議などの活動を積み重ねています。
また、差別偏見をなくすため、医学教育の中に正しい肝炎の原因・歴史を折り込むこと、原告が講演に行く機会を設けることなども求めています。
真相究明 原因究明・再発防止
B型肝炎は、国が予防接種の際の注射器の使い回しの事実を知りながら適切な指導をしなかったことにより爆発的に患者数が増えてしまいました。なぜ、このようなことが起こったのか、2度とこのようなことが起こらないようどうすればいいのか。当弁護団は今も、厚生労働省と協議を続けています。
教育・啓発活動 差別や偏見をなくす取組み
肝炎ウィルスに感染している人は全国に350万人以上もいるといわれています。しかし、一般には正しい知識を持っている人は少なく、誤解に基づくいわれのない差別や偏見が、患者の心を傷つけてきました。
私たち弁護団・原告団は、こうした悲しみがくりかえされないように、正しい知識を普及し、差別や偏見をなくす活動に取り組んでいます。たとえば、各種の冊子を発行したり、将来医療に携わる学生を対象にした患者の講義を開いたりしています。
鹿児島県内の大学や医療専門教育機関で、学生さん向けに弁護士と原告のみなさんが講義をしています。我が子へ母子感染したことの悲しみ、周囲の人から心ない言葉をかけられたなどの経験を聞いた学生さんからは、「将来自分が肝炎患者の方に接するときには患者さんの気持ちを理解して声をかけようと思った。」などの感想が寄せられました。
大学の他に、中学校・高校や一般の方向けの患者講義にもお応えしております。
鹿児島弁護団事務局までおたずねください。
弁護団のあゆみ
B型肝炎ウイルスに感染した患者が、感染の原因は幼少時に受けた集団予防接種の際に注射針・注射筒が連続使用(回し打ち)されたことによるとして、国に対し損害賠償を求める訴訟をいいます。
B型肝炎訴訟は、1989(平成元)年、5名の被害者が、札幌地方裁判所に訴訟を起こしたことにより始まりました。
そしてこのとき、札幌に初めてのB型肝炎訴訟弁護団が結成されました。
この裁判は、非常に長期間にわたって審理され、2006(平成18)年、ようやく、最高裁判所で、被害者ら勝訴の判決が言い渡されました。
その間には、大変な困難がありました。
第一審では、被害者ら完全敗訴、第二審でも被害者ら一部敗訴とされながら、最高裁でようやく、被害者ら完全勝訴の判決を勝ち取ったのです。
その後、札幌の原告5名以外の被害者らは,国に対して救済を求めました。
しかし国は、札幌の原告らは札幌の原告らであって、その他の者に対しては国の責任はないとして、救済を拒みました。
そこで、札幌の被害者と弁護団は、全国の弁護士に、B型肝炎被害者の救済に立ち上がるよう呼びかけました。
その呼びかけに応じて鹿児島の弁護士有志で結成されたのが、当弁護団、全国B型肝炎訴訟鹿児島弁護団です。
当弁護団は、全国各地の弁護団と連携しながら、鹿児島地方裁判所に被害者を原告として訴訟を提起してきました。
その後、原告団、弁護団は、全国各地で被害を訴え、街頭演説や座り込みを行い、多数の署名を集め、国に対し、懸命に救済を訴えました。
そして、2011(平成23)年6月28日、国はついに責任を認め、原告団・弁護団と「基本合意」を締結したのです。
その際、当時の首相菅直人氏が、原告らに対して直接謝罪をしたのは、記憶にも新しいことかと存じます。
その後、被害救済のために「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が定められ、2012(平成24)年1月13日から施行されています。
このようにして、ようやく国は、被害者救済のための施策を講じるようになりました。
しかし、B型肝炎の問題は、これで解決したわけではありません。
個別の被害者の方の救済を手助けしていくことはもちろんのこと、今後、同じような被害が起こらないよう、当弁護団は、今後も真相究明、国に対する救済拡充の訴えを続けてまいります。